あと一か月で公立高校の受験が始まりますね。
受験生はきっと今がピークで気持ちも「受験一色」になっていることでしょう。
受験生のお子さんを持つ親御さんは、
栄養のある献立を考えたり、体調を崩さないように対策を考えたりと、
共に戦う「戦友」のような気持になりますよね。
その先にあるのは合格発表当日、高校前に貼られる合格者の受験番号の中に
受験した子の受験番号を見つけ、喜んだり
感動して目に涙を浮かべる姿・・・。
ここで縁起でもないことはなるべくは考えたくはないものですよね。
ですがそれを承知でお勧めします。
一度でいい、お子さんと一緒に
「もし高校入試に失敗したら」
ということを、逃げずに真剣に考えてみてください。
高校受験に落ちたらどうなる?感じたのは”断絶感”
私には二人の子供がいます。
上の子の時には無事、合格の喜びを経験できました。
そのせいもあったのかはわかりませんが、
下の子の時も多分合格するだろうとなんの根拠もなく思っていました。
ですが、下の子の合格発表の日、私にとって想定外の結果が出てしまいました。
「他の場所にも掲示板があるんじゃないか?」
「進路変更した人の番号はここじゃないんじゃないか?」
色々な可能性が頭の中をグルグルしていました。
自分の子供の受験番号がない掲示板をしばらく見つめ、
その事実を認めるまでに、実際何分かかったのかわかりません。
「・・・・・・・・・・・・ない・・・。」
その言葉を自分の中に落とし込むには
言葉として絞り出すしかありませんでした。
そしてその時の風景の色はどんどんと褪せていき、
掲示板に群がるセピア色の受験生を呆然と見つめていました。
「まさかうちの子が落ちるなんて・・・、
この学校に受け入れてもらえないなんて・・・何かの間違いでは?」
不合格を受け入れた瞬間、自分の子供が
「お前の子はいらない」
と拒絶されたような、何とも言えない『断絶感』に襲われました。
「どうしよう、これからどうなるんだろう、
いや、どうしたらいいんだろう。
わかんない、わかんないよーーー・・・」
真っ暗なブラックホールに吸い込まれていくような感覚。
隣にいた主人もきっと同じ気持ちだったと思います。
我に返り、私達より前方で見ていた我が子を迎えに行った私達は、
「やったー!!!」「あったー!!!」という他の子の歓声を尻目に
無言でその場を立ち去りました。
落ちた本人でもない親がこれほどのショックを受けるのですから、
落ちた子のショックは計り知れません。
ただただ我が子が泣き止むまで抱きしめてあげることしかできませんでした。
高校受験に落ちてからでは先のことはとても考えられない
我が子の高校受験失敗を経験し、最初に後悔したことは
「落ちた時のこと、もっと真剣に考えておけばよかった」でした。
「もし落ちたらどうする?」を考えられるのは、
まだ落ちていない時だけです。
「不合格」が現実となった今、
「もし落ちたらどうする?」という話はできません。
話すとしたら「これからどうする?」
全く余裕も遊びもなく、非常に短い期間でどうするのかを
決めなければいけなくなってしまいました。
今思えば、上の子供の高校受験の時はもっと
「万が一」の時のことを私なりに考えていたような気がします。
高校受験”落ちたらどうする?”を想定していた一人目の場合
上の子も下の子も、公立受験の練習と称して、
私立高校を受験させていました。
ただこれは、万が一公立受験に失敗し通うことになった場合、
我が家の経済状況を考えると
授業料を払い続けられる自信がないということで、
「『成績優秀者対象の授業料免除枠』で合格することが条件。」
と子供に伝えていました。
その上で、
上の子に「落ちたらどうする?」と質問した時、
「罰として3年間遊ばず、私立で死に物狂いで勉強して大学受験に備える。」
と断言してくれていました。
高校受験”落ちたらどうする?”高を括ってしまった二人目の場合
今考えると、上の子が無事合格できたという経験から、
下の子の時は「万が一」は起きないだろうと
どこか高を括っていた気がします。
もちろん、そもそも受験前に万が一のことを考えるのは
私も本意ではないと思うところがありました。
下の子本人に「落ちたらどうする?」という話を
真剣に話した記憶が・・・ないんです。
たぶん私の中で「上の子と同じような気持ちだろう」と
決めつけていたんだと思います。
”万が一”に備えていた気でいただけでした
下の子の子育てを、上の子と同じと考えていたところがありました。
「もし受験に失敗したら、それを糧に大学受験で盛り返してくれるだろう」
と下の子の意思をしっかり確認もせず・・・。
実際にその万が一の状況を迎えた時、
他に選択肢はないとばかりに私立高校に入学させてしまいましたが・・・。
今、この時の選択を親としては死ぬほど後悔しています。
”特進クラス”という響きに騙された気分
志望校に入れなかったという傷を抱えながら迎えた私立高校の入学式。
「特進クラス」という、受験時の点数が優秀だった子が入るクラスは
授業料が免除になるという特徴のクラスです。
ですが言い換えると、上位校の受験に失敗した子が集まったクラス。
勉強が出来ないわけではなく、あくまで本番で力を
出し切れなかった子たちで構成されています。
なのでみんな『傷を負った戦士』。
ですがプライドだけは残っています・・・。
かくいううちの子もどこか「本番でいつもの調子が出なかっただけ」
と自分で自分に言い訳しているようでした。
私はこの時、下の子を見ていて嫌な予感がしました。
本来であれば、入学式で明るく振る舞っている我が子を見て
新たな門出を祝ってあげる立場であるはずなのに、
新しい教室でにこやかに周囲に愛想を振りまいている我が子の姿を見て
以前上の子が言った
「罰として3年間遊ばず、私立で死に物狂いで勉強して大学受験に備える。」
という言葉を思い出していました。
「この子はなぜこれから始まるこの学校生活を楽しもうとしているんだろう?」
「なぜ友達に好かれようとしているんだろう?」
と思ってしまいました。
上の子が言った「罰として」という言葉が頭から離れません。
そして嫌な予感は3年後、確証に変わることに・・・。
親も子も”浪人”を選択する勇気も時には必要です
志望していた公立高校に入れなかったということは、
その定員以下の成績だったということ。
その事実をしっかり受け止める心の準備ができないままに
「首位」で入学してしまった私立高校。
始めの頃はテストをしても一位のままでした。
こんな言い方をしてはなんですが、それは当然でした。
そして当然その状況は3年生を卒業するまで維持するものだと思っていました。
ですが私の意に反して成績は徐々に下がっていきました。
決して勉強をしなかったわけではありません。
決して悪い友達が出来てそそのかされたわけでもありません。
ただ、
「頑張らなくてもトップ」であるという「ぬるい状況」に気が緩んだんです。
これがもし志望校に入れていたならきっと、
頑張らないと付いていけないレベルだったと思うので、
それなりにプライドもある子なので勉強したと思います。
日一日と、目に見えて公立高校のレベルから引き離されていく我が子を
親として、どうすることもできませんでした。
「ああ、あの時もっと真剣に『浪人』させることも考えていれば
ここまで学力が落ちることはなかっただろうに・・・」
まさに後悔先に立たず。
15歳の子供にとって『浪人』というのは「生き恥をさらす」ように思えるのでしょうが、
私が高校時代、友達に浪人して入った子がいましたが、
普通に「友達の一人」でした。
実際に一学年上の子が自分の学年に交じっていたところで
思う程違和感はないもの。
うちの下の子のようにこの15歳の一年間を浪人しなかったばっかりに
18歳で二度目の不合格を貰う危機にさらされるハメになっては
ただただ嫌なことを先延ばしにしただけ。
しかもその先延ばしにした3年間で学力を落とし、
行きたい大学を諦めなければならなくなってしまいました・・・。
ですからもし、お子さんがもし受験に失敗したなら、
『浪人すること』を選択肢の一つとして真剣に考えてみてください。
15歳といえば、まだまだこの先の人生は長く続きます。
その長い人生の中のたった1年のことです。
言ってしまえば事件に失敗したことも長い人生のほんの一瞬の出来事です。
ですが「やり直すなら早い方がいい」
これはどの世界でも言えること。
「挑戦するのに年齢は関係ない」ということを決して否定はしませんが、
年をとればとるほどに、その挑戦は難しくなることは事実です。
私の子は、3年前、失敗してすぐにやり直さなかったばっかりに
3年後の今、行きたい大学に行けず苦しんでいます。
そして3年前のツケをを払うかのように来春、浪人生になることでしょう。
「高校受験に失敗して浪人する人なんてそうそういない」という人もいますが、
そんなことを言う人は、お子さんの人生を真剣に考えている人ではありません。
それに「そうそういない」といったところで
「それをしてはいけない」わけではありません。
人と同じでなきゃダメ?
そんなことはありません!
大事なのはあなたの「お子さんが幸せになること」です。
あなたのお子さんにとって今、どうすることが
将来のお子さんの幸せに繋がるのかを真剣に考えてみてください。
さいごに
高校受験に落ちてしまった時、真剣に考えてほしい
『浪人』のお話でした。
高校受験に失敗してしまっても、人生に失敗したわけではありません。
そして「浪人すること」は決して悪いことではありません。
時に回り道に思えたとしても、
後にそれが幸せに続く最短の道に繋がっているはず!
あくまで選択肢の一つとして、親御さんからお子さんへ
真剣に提案してあげましょう。
人生まだまだ先は長い!とお子さんに教えてあげましょう^^